Vol.32│ニューヨーク、3つの出逢い

絵の具に見たLEDカラーの確立

投稿日:2013,8,22

 

パーティファイルから・・・

私のデザインスタジオには様々なファイルが保存されていますが、今日はその中から一風変わったファイルをご紹介いたしましょう。もちろん照明に関わるファイルなのですが、よーく見ていただくと、何やらシャンパンボトルやら美味しそうな食材が所狭しと映っているではないですか!

実はこのファイル、「パーティファイル」と称されているもので、私のスタジオで事あるたびに開催される様々なパーティを記録したものなのです。ここには、どんな方々が参加されたのか?その時の設えはどうだったのか?食べ物や飲み物は?などなどを写真と文章でつづられています。

今回はまず、なぜこのようなファイルをとるようになったのか、その経緯をお話しすることといたしましょう。





パーティには大いに工夫を!

以前、「Vol.26 独立の仕方!」では、私が照明デザイナーとして独立開業するにあたって、事務所をオープンした際に毎日たくさんの人が訪れてくれてパーティのような状態が続いたことをお話しました。その後もずっとパーティ・・・では、もちろんありませんが、さまざまなクライアントや照明メーカーの方々とお仕事をさせていただくようになって、時にはプロジェクトの竣工をお祝いするちょっとしたパーティを開催するようになったのです。

様々な方々の協力なくして照明デザインは完成しませんので、無事そのデザインが完成した時には、プロジェクトに参加していただいた方々に感謝をこめてパーティを開かせていただきました。そしてそれを記録するのがこのファイルなのです。仕事の量が増えるにつけ、パーティの開催頻度も高くなりましたので、このファイルも厚みをますようになりました。そして、この嗜好を凝らしたパーティのノウハウもここに集約され、次回開催のためにとても重要なデータとなったのでした。

ここにはたくさんのパーティの模様が記録されておりますが、私の記憶に残るパーティは、楕円形の形をした建築が竣工した時のモノです。ただテーブル上にワインとおつまみを並べるのでは面白くないので、何かアイデアがないかと考えたときに思いついたのが、そのビルをかたどったお皿をつくることでした。図面をそのまま拡大して、スチレンボードと光沢紙でかたどった楕円形の大きなフードプレートを作ったのです。

そして、その上にちょっとしたフィンガーフードを並べた訳ですが、ビルの関係者であるお客様たちは、テーブルを見るなり「あっ!これは!!」と、すぐにビルの形だと気付き、とても喜んでいただけました。こんな出来事から、せっかくなので写真やメモと共に記録しようとなったのです。




パーティはコミュニケーション

Viabizzunoの照明を愛でるパーティの様子。

以降、事務所でパーティをするときは様々な趣向を凝らすようにもなりました。単純にプロジェクトにかかわるものはもちろんのこと、たとえば、ライトデザインを訪れる営業マンたちの中からその年いちばん我が社を想ってくれた人を選ぶベストアワード的なパーティを企画してみたり、はたまた「Vol.24 思わず欲しくなる照明」でご紹介したイタリアのViabizzuno(ビアビッズーノ)という照明を愛でるパーティなどなど、さまざまです。

ちなみにこの時はイタリアということでイタリアの形を模した真っ赤なプレートを作り、赤い照明で演出しました。ただみんなで集まってダラダラと飲むのではなく、こうやってそれぞれの個性に合わせたパーティースタイルにすると、シンプルにとても楽しめます。平均して月に1、2回、年間で十数回ものパーティを実行してみると、様々なパーティノウハウが蓄積されてきます。それをパーティ3ヶ条としてまとめてみたいと思います。

まず、第一条ですが・・・.パーティは宴会にあらずです。つまり、ただただ楽しく一緒にお酒を飲むのではないのです。あくまで私たち迎える側はホスト役に徹する必要があると思うのです。ゲストの方々に十分に満足していただくことを第一に考えるのです。第二番目の極意は、「パーティは心のコミュニケーションの場である」ということです。目的はあくまでプロジェクトを通しての感謝を伝えることなのです。そして、三番目は、美味しい食材はもちろんだけれども、食材よりもプレゼンテーションが重要、といったところでしょうか。

また、こんな具合にパーティをやっていると、その場で楽しいだけでなく、いろいろなアイデアが浮かんだり、新しい発見をしたりという良い効果もあることに気づきました。パーティの“3つの良い効能”とするならば、1.新しいアイデアの創出、2.これから行く道筋が明確に見えてくる、3.メンバーと同じ“船”に乗っているという仲間意識や連帯感がうまれる、といった感じです。まあ、こんなことを書くといつもパーティのことばかり考えているのか・・・?と思われてしまうかもしれませんが、これもデザインあってのことですね!だって、パーティの肝は照明の演出にこそあるのですから!

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PROFILE
東海林弘靖 / Hiroyasu Shoji

1958年生まれ。工学院大学・大学院建築学専攻修士課程修了。
光と建築空間との関係に興味を持ち、建築デザインから照明デザインの道に入る。1990年より地球上の感動的な光と出会うために世界中を探索調査、アラスカのオーロラからサハラ砂漠の月夜など自然の美しい光を取材し続けている。2000年に有限会社ライトデザインを銀座に設立。超高層建築のファサードから美術館、図書館、商業施設、レストラン・バーなどの飲食空間まで幅広い光のデザインを行っている。光に関わる楽しいことには何でも挑戦! を信条に、日本初の試みであるL J (Light Jockey)のようなパフォーマンスにも実験的に取り組んでいる。





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