Vol.32│ニューヨーク、3つの出逢い

絵の具に見たLEDカラーの確立

投稿日:2013,11,14
photo by Toshio Kaneko

 

事務所を移転いたしました

私たちLIGHTDESIGNのホームページをご覧になっている方はもうご存知かもしれませんが、この度弊社は事務所を新たな場所に移転いたしました。

と言いましても、以前の事務所から徒歩約30秒の近所に移動しただけ、住所こそ2丁目から1丁目に変わったものの、銀座の地であることには変わりません。相変わらず銀座らしい(?)古い建築物に出会うことができ、少しだけスペースを広げることにもなりました。内装はLIGHTDESIGNらしさを醸し出したいので、以前同様、白を基調としたシンプルな構成といたしました。引越から数週間がたちましたので、ようやく住み慣れてきた感が出てきて、スタッフともども心機一転の今日この頃です。

事務所の移転は今回が2回目で、スタッフや周りの人からは以前の場所のままでも良いのに何でわざわざ大変な思いをして引越をするの?という意見もありました。では、なぜ引越を決意したかというと・・・今日はそのあたりのことを書いてみることといたします。





引越の多い人生


実は私は幼少の頃から引越はかなり多いほうで、思い返してみると、幼稚園の頃に1回、小学生時に2回、中学で1回、高校卒業後の予備校生時代に1回、大学生になってから2回、結婚した際に1回、その後さらに2回・・・と、こんな調子でした。

子供の頃は親の仕事の関係による引越で、いわゆる“転校生っ子”だったわけですが、引越自体はそんなにイヤではありませんでした。また更なる引越を繰り返すことはわかっていたので、その地がイマイチしっくり来なくてもやり直しがきくところもあり、幸いイジメなどにあうこともなく、引越のポジティブな面を楽しんでいたのかもしれません。

つまり、引越は楽し!人生に引越は吉!という考え方になっているようなのです。今回も重い腰を上げての引越というよりも、「そうだ、引越をしよう!」と心にそう決めると・・・、たちまち新たな場所で仕事をするワクワク感のほうが強まっていったのです。




新事務所のコンセプトはスタジオ!

新事務所・Mスタジオ photo by Toshio Kaneko


さて新しい事務所ですが、今まで使っていた家具を活かしつつ、新しい空間イメージは「スタジオ」だと定義してみました。大きな意味で色々なデザインを生み出していくためのスタジオにして行こうと考えたのです。

少し広くなりましたので、スタジオは三つに区分することができました。一つはKスタジオ、Kはキッチンの略称です。以前の事務所移転の際は「デリシャス・ライティング」を出版した後でしたので「キッチンハウス」というコンセプトでコックさんやキッチン、デリシャス、クッキングなどをキーワードに、ミーティングルームに厨房のようなカウンターを設けたのが特徴でした。このコンセプトを今回も継承したのです。二つ目はDスタジオ、Dはデザインの略称で、いわば私たちのデスクがあり日常の作業をする空間です。最新の照明器具やシステムを体感しながら作業ができる環境にいたしました。そして三つ目はMスタジオです。Mには様々な意味を込めました。みんなのM、ミーティング、メッセージ、マインド・・・ つまり、マルチパーパスのMですね。

ところで、引越にはお金がかかりませんか?
やはり、そんな質問が聞こえてまいります。そうなのです、出費がかさむのですが、それをできるだけ少なくするように様々な工夫をしました。そのなかでも最大の工夫は自分たちで作ること!です。仕事を進めながらも時間を決めて新しい事務所の壁や天井を自分たちで真白に塗ったのです。照明による空間イメージを明から暗まで自在にコントロールする背景には、反射率の高い白を選択します。ひたすら塗り進め、白い空間になればなるほど、「光が見えてくる!」ことに気が付きます。そうか照明デザイン事務所は白いことに意味があるのだ・・・これはスタッフにとっても大きな発見だったと思います。

照明デザイナーという仕事柄、この機会に最新の照明器具やシステムを吟味、駆使しながら、どうしたらクリエイティブな活動につながるスタジオ空間を創ることができるかもみんなで考えることになったのです。そう、引越の良いところはこのような機会に結束力が強く固まるところかもしれません。

さぁ、気分も一新、使い勝手も良くなったスタジオで、人の心に響く光のデザインを創造していきたいと身が引き締まる思いです。

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PROFILE
東海林弘靖 / Hiroyasu Shoji

1958年生まれ。工学院大学・大学院建築学専攻修士課程修了。
光と建築空間との関係に興味を持ち、建築デザインから照明デザインの道に入る。1990年より地球上の感動的な光と出会うために世界中を探索調査、アラスカのオーロラからサハラ砂漠の月夜など自然の美しい光を取材し続けている。2000年に有限会社ライトデザインを銀座に設立。超高層建築のファサードから美術館、図書館、商業施設、レストラン・バーなどの飲食空間まで幅広い光のデザインを行っている。光に関わる楽しいことには何でも挑戦! を信条に、日本初の試みであるL J (Light Jockey)のようなパフォーマンスにも実験的に取り組んでいる。





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