Vol.25│照明デザイナーのノート

適材適所の道具たち

投稿日:2013,4,4

 

機能性が物言う、光のソムリエの遂行品

こんにちは。東海林弘靖です。さて今週から4月に入り、街には新入生や新社会人の初々しい姿を見かけるようになりました。彼らのようなフレッシャーズでなくとも、ピシッと気持ちも新たになるのがこの季節です。デパートやショッピングセンターでは“新生活”を銘打って、いろんなアイテムの新調を勧めるのもこの季節です。

そこで今回のテーマに「私がお勧めするノート」のことを書いてみようという気分になったのです。この季節ですから、何か新しいノートを開いてみるのもいいですよね・・・。実は私は長い間、気に入ったノートに出会うことができませんでした。あれを買い、これを買い、いろいろ試した結果、最近ようやくこれぞ!というお気に入りを見つけました。

「そうだ!今日はブログでこのノートをご紹介しよう!」と考え、朝、オフィスに向かう電車の中でそのノートを眺めていたところ、いままで使っていた自分さえもまったく気づいていなかった、そのノートのデザインのこだわりを、今日改めて発見してしまったのです。



アンチノート派が行き着いたのは・・・

新たに私のお気に入りアイテムとなったノートというのは、「ZEQUENZ(ジーケンス)」というブランドの一品です。

いままで私はメモ用アイテムとしては「情報カード」というカード状の紙がとても便利で愛用していました。この話は前身ブログにも以前書いていたのですが、これにアイデアなんかを書いておくと、トランプのようにきってパッととり出したメモ書きが後々になって気持ちも新たにそのアイデアに対して接することができるというアイテムだったのです。しかし、デメリットとしては、綴りになっていないので一覧性に欠けていたり、クライアントとの打ち合わせなどにおいては、小さな一枚の紙にチマチマと書いている姿はちょっと見栄えが良くないということでした。そこでやはりいわゆる綴りのノートが欲しくなり、あれこれ試すこととなったのです。

中国に行った際に買ったお洒落なデザインノートやノート界の“大御所”ともいえるモレスキンなど、いろんなノートを試すものの、いまひとつ自分の手にフィットしない感じが続いておりました。そんな中、出会ったのがジーケンスのノートで、他との違いは表紙と綴じ方にありました。


このノートの表紙はポリウレタン製の柔らかいシート貼りになっており、クルクルと雑誌のように丸めることができるので、大きなバッグを持ち込めない工事現場などでは、ジーンズの後ろポケットにつっこんで持ち運べるのです。また、綴じしろがないので、ノートを開いたときに綴じている部分に段差ができにくいのも良いところです。

しかし、使いやすさへのこだわりは、じつは他にもあって、まさに今朝初めて気がつきました。



ノートの機能性を左右する要素

そのこだわりとは、ノートの“罫線”です。私は職業柄、図面やスケッチをメモに書いたりするので、罫線は方眼タイプのものを使っています。その方眼にこだわりがあったのです。

まず、罫線の色合いがジーケンスのものは非常にうすく引かれているので、図面やスケッチのほかに言葉を書いたりするのにも邪魔にならず、ちょうどイイのです。そして、この方眼はなかなかのものだなと、みなさんにご紹介しようとよく調べていたところ、方眼のサイズ感が他ブランドとは異なっていたことを知りました。

一般的な他の方眼ノートのほとんどが5ミリ幅で出来ているのに対し、ジーケンスの方眼は1ミリ少ない4ミリ幅だったのです。なぜ4ミリなのか?メーカーの真意はわからないですが、確かに使ってみるとこの“4ミリのこだわり”が使い勝手に他との大きな差別化をはかっていることに気がつきます。5ミリの方が2コマでちょうど1センチになり使いやすそうですが、実際のところ1センチという単位で何かを縮尺してスケッチする機会はあまりありません。むしろ、ずっと使っていた私でさえ方眼のコマが5ミリでなく4ミリだったことに気付かなかったほどです。

私が使っているのは縦17.8センチ、横12.5センチのA5に近いノートで、ちょうど以前使っていたモレスキンの方眼ノート(5ミリ方眼)も横幅はこれと同じ12.5センチでした。すると、ここに違いが出てきます。同じ12.5センチの横幅の中に入る方眼のコマ数が4ミリ方眼のほうが5ミリよりも多くなるのです。とくに正確な縮尺でスケッチするのでないならば、方眼のコマ数が多いほうが、どうも上手く1ページに絵がきっちりと収まるのです。

方眼のサイズにこだわっていたとは「さすが!」です。コンパクトなノートであるからこその工夫があったのです。これには「一本取られた!」と改めて感動し、さらなる愛着が沸いたという訳です。納得のいく道具で身を固め、新年度をスタートすれば、気分も上々いい感じです。仕事に、勉学にまい進できること間違いなし!なのです。はい!

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PROFILE
東海林弘靖 / Hiroyasu Shoji

1958年生まれ。工学院大学・大学院建築学専攻修士課程修了。
光と建築空間との関係に興味を持ち、建築デザインから照明デザインの道に入る。1990年より地球上の感動的な光と出会うために世界中を探索調査、アラスカのオーロラからサハラ砂漠の月夜など自然の美しい光を取材し続けている。2000年に有限会社ライトデザインを銀座に設立。超高層建築のファサードから美術館、図書館、商業施設、レストラン・バーなどの飲食空間まで幅広い光のデザインを行っている。光に関わる楽しいことには何でも挑戦! を信条に、日本初の試みであるL J (Light Jockey)のようなパフォーマンスにも実験的に取り組んでいる。






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